「水上のフライト」を観た。ご存知の方もいると思いますが、僕は左半身麻痺の身体障害者。だから大変複雑な想いで観賞した映画だった。高跳びの記録ホルダーの女性が不慮の事故により脊髄損傷になるが、パラカヌーに出会って再起する物語。
だが、映画だと言っても見過ごせない点が難点か散見された。
まず交通事故後すぐに車椅子を操り日常生活に復帰した点。そこはリハビリの苦悩を描いて欲しかった。コーチが「カヌーは沈没したらまた乗り直せば問題ない」という台詞。これが身体の自由の効かない人間にどれほど残酷な言葉に感じるかという点。さらに、「お前には才能があるからパラリンピックを目指すべき」という台詞。そして彼女が決意する前に周囲が勝手に進める点。そこに彼女の決意は示されていない。
僕も何度も考え葛藤した問題を否定されると存在を全否定されたように感じてしまう。
全体的には変なお涙頂戴映画じゃなくよかったが、図らずも障害者と健常者の意識のギャップを描いた映画になったのかもしれない。しかし障害者になったからといって周囲は変わらず、自分の意識次第だということを描けたのは大変感慨深かった。#白猫独りロードショー