スカイ・クロラ〜理系文体とは

森博嗣スカイ・クロラ」読了。

再読は何年振りかは思い出せない、でも、映画で小説を補完してたので、いくつか記憶との齟齬が発生していた。よく森博嗣の文章を理系文体なんて称すけど、読んでみると、そこには簡素で不要な装飾や無理な説明のない綺麗な文章がある。そういう文章に憧れて単語の語尾の長音をあえてなくすルール例えば本書のタイトルは普通は「スカイ・クローラー」と呼ばずに「スカイ・クロラ」表記するなど、森氏に言わせるとJIS規格に準拠させているので特別な表記ではないということだが、それは本当に瑣末な事象で、森博嗣の文章は村上春樹にも似た(またはスガシカオの描く歌詞にも似た)特別なことを特別に書かず、あくまでもフラットに文体を整えるという思考/方法にあると思う。あkまで小説は手段であり、目的は言葉では伝わらないことを伝えるという方法論をとっているためだろう。そのため、その描く世界は非常に映像的であり、美しくある。それは調度「絵にも書けない美しさ」を言葉で表す行為と似ているかもしれない。

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The SkyCrawlers


#白猫Bookreview【追記】小説全体の感想については三部作全て読了後に