読書
武田綾乃「君と漕ぐ(1)」読了。この作品を読むとなんで、僕は運動や運動部に励まなかったと後悔する。それはきっと彼女たちの友情や努力が眩しく輝いているかもしれない。#白猫Bookreview TOURING WITH YOU(1)
アーシュラ・Kル=グウィン村上春樹訳「素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち」読了。前作で登場した会話のできなかった空飛び猫ジェーンと立派な尻尾を持ったアレキサンダーの物語。ここには翼の有無で優劣を競うようなものじゃなく猫たちの優しい世界…
堀辰雄「風立ちぬ」読了。不勉強ゆえ、初めてサナトリウム文学というものを読んだ。もちろん映画とはまったく違った。そのためだけではないだろうが、寒さと辛さしか感じなかった。#白猫Bookreview The wind Rises
海野チカ「3月のライオン17」読了。この巻が連載していたのは、ちょうど入院していた頃だったので、一つのエピソードも読んだことがなかった。僕が入院でリハビリに勤しんでいるときこんなに熱い戦いが繰り広げられていたとはつくづく病気が憎い。そんなこん…
マイケル・ギルモア村上春樹訳「心臓を貫かれて」読了。端的に言って、大変怖い本である。人が如何に人を壊すことができるか。僕も離婚の際にその一端を見た気がするが、アメリカにおけるモルモン教と人々の生活を僕らが何も知らないか。本書はそれを実に克…
矢崎存美「ぶたぶたのお引っ越し」読了。僕は、大学で上京するまで引っ越し押したことがありませんでした。だから、引っ越しに密かな憧れを抱いており、上京時の引っ越し先を探していることを思い出して懐かしくなったのです。 Dr.BUTABUTA's moving ikuzuss…
隈研吾「くまの根」読了。僕の建築的メンターである、世界的建築家隈研吾氏の教鞭をふるった東京大学最終講義と、友美死後をした人々の談話をまとめた著作。改めて拝読すると、多気な仕事とその圧倒的な柔軟性に驚かされる。その昔隈さんに言われた「照明は…
爪切男「働きアリに花束を」読了。内容は燃え殻系エッセイ。しかも出てくるのは自慰とかウンコとか風俗とかと「下品」である。しかし下品であってもげすにならないのは「はたらくこと」を真摯に描いているからかもしれない。#白猫Bookreview #dawn813 Bouque…
森絵都「カラフル」読了。ネタバレになるので内容については書かない。しかし一度でも「死にたい」とか「生きるのが息苦しい」と思った人には力強く勧めたいと思う。#白猫Bookreview COLORFULL ikuzuss.hatenablog.com ikuzuss.hatenablog.com ikuzuss.haten…
栗本薫[GUIN SAGA41]「獅子の星座」読了。シルヴィア姫拉致事件の顛末。誘拐犯はとうとう皇弟ダリウスとユラニアとの犯行に決まった。そこから豹頭王を巡る下準備が繰り広げられ、ユラニアと戦火開かれる寸前グインを頼ったマリウスがサイロンにようよう辿り…
村上春樹「カンガルー日和」読了。再読である。村上春樹の初期二十三篇の短編集。現在の村上ワールドの基盤となる要素が散見される。「図書館」「地下から助けてくれる女性」「羊」「鳥」。僕が今短編を書き溜めているのも、この短編集の影響が大きいかもし…
ウィリアム・ギブスン黒丸尚訳「ニューロマンサー」読了。全編サイバーパンクである。そしてそれ以前に優れたハード・ボイルド小説である。しかし、読み進めるうちに思っていたのは「映像なら一瞬で済む描写」を文章で描写すること」の難しさである。 もちろ…
西尾維新「掟上今日子の旅行記」読了。忘却探偵第八段。今回は忘却探偵ならぬ忘却怪盗としての掟上今日子の冒険譚。盗むはパリエッフェル塔。つまり舞台はフランス。眠れずに渡仏がまず問題。次は巨大な塔をいかに盗むか。そこは西尾維新。叙述トリックなら…
栗本薫[GUIN SAGA40]「アムネリアの罠」読了。ケイロニア皇帝ケイロニア・アンタイオスは「ヤーンは、奪い給い、与え給う」と忠臣アンテーヌ侯アウルスに語った。「ヤーンは、奪い給い、与え給う」と。今回のグイン・サーガはグインにほのかな恋心を寄せるシ…
マーク・ストランド村上春樹訳「犬の人生」読了。マーク・ストランドは「詩人」である。その故かこの短編集も雲のような霞のような捉え所のないものだった。訳者 あとがきで村上春樹はこう語っている小説というより「散文的語り」のようであるときっと僕らは…
村上春樹「うずまき猫の見つけかた」読了。端的にいうならボストンマラソンと猫のエッセイである。それ以上でもそれ以下でもない。しかし、村上主義者的には外せないエッセイかもしれない。#白猫Bookreview How to Find a Vortex Cat open.spotify.com popup…
栗本薫[GUIN SAGA39]「黒い炎」読了。マリウスの周りに陰謀が集まるのか。トーラスにも彼の落ち着く場所はないのか。カロンとデンを足すくるべくトーラスを経とうとするマリウス。しかし運命の悪戯か。とーラスの市門でイシュトヴァーンと出会ってしまう。あ…
吉本ばなな「つぐみ」読了。読み進めるに従い、ページを捲るのが怖くなった。ただつぐみの死なないことを願っていた。しかし、つぐみは死なず、より力強く生きていく。いくら死亡フラグが立っても生きていく。まるで「夏」は毎年くるように。#白猫Bookreview…
城平京「虚構推理」読了。満足の一冊。アニメの出来のよさに惹かれて読んでみたが、これが表紙のイラストから連想されるラノベなのではなく。本格も本格推理小説。それも虚構を真実で暴くのではなく虚構を虚構で暴くという離れ業。#白猫Bookreview In/Spectre…
矢崎存美「刑事ぶたぶた」読了。いつも可愛いぶたぶたの物語。今回は親子関係(家族)に関わるエピソード。終盤でちょっと泣いてしまう。それは僕が息子とは(多分)良好な関係を気づけたが、妻とは上手くいかず結局離婚したせいかもしれない。#白猫Bookrevi…
吾妻ひでお「失踪日記」読了。漫画家吾妻ひでお氏による」実体験エッセイ。僕も以前アル中気味だった。だから面白いが、笑えない。ペットボトルの焼酎を一週間ほどで飲み干し、トイレで座りながら寝こけているのもしょっちゅう。抗鬱剤飲みながら飲酒(駄目…
川崎和夫「デザインの極道論」読了。僕(健常者だったころから)川崎和夫のデザインもデザイナーとしての生き方も好きである。本書は「三十の言葉」をテーマにした様々な事象が語られたデザイン論である。本書にはこんな言葉が引用されている。「美しい花が…
カズオ・イシグロ土屋政雄訳「忘れられた巨人」読了。この物語はファンタジーである。しかし骨格や真髄は現在起きている問題に深く結びついている。終盤まではタイトルの巨人がなんなのか分からなかった。しかし、わかったとき衝撃のようなものを感じた。巨…
矢崎存美「食堂つばめ」読了。臨死体験の物語。「まずは腹ごしらえをしろ」「とにかく何か食べろ」「食べたいと強く願え」という言葉を持った死者になれない青年の人間の基本に基づいた物語。人は誰もが懐かしい味を覚えている。#白猫Bookreview dining Swal…
大槻ケンヂ「ロッキン・ホース・バレリーナ」読了。元ミュージシャンのマネジャー得山は言った。「答えがわかることはみんな誰でも怖い」と。十八歳で夏でバカな耕助、ザジ、バンのスリーピースバンドとひょんなことで拾った七曲町子が自らを探し求める物語…
ロバート・A・ハインライン小野美佐訳「夏への扉」読了。『新訳版』である。残念ながら「旧訳版」は読んだことがなかった。読後読んでなかったことを後悔した。古典的な「タイム・トラベルもの」のSFである。有名な本だけにうっすら内容は知っていた。『新訳…
栗本薫[GUIN SAGA38]「虹の道」読了。ほとんど基本的にリンだとアルド・ナリスのロイアルウェディングの話である。しかし重要なのはケイロニアのグインの動向(姫のピンチ)とマリウスの再登場の意味である。個人的には「煙とパイプ亭」をはじめとする庶民の…
森博嗣「まどろみ消去」読了。森博嗣の短編集。相変わらずシャープでキレのある小説群。基本的に叙述トリックであるが、文体のおかげでそこに違和感を感じない。特に「虚空の黙祷者」は実に森博嗣ちっくである。以前は理系的な思考法に目が行ったが、自分で…
村上春樹「村上ラヂオ3」読了。いつもの村上さんの軽いエッセイでした。一つお題を選ぶとすれば、「椰子の木はなぜあんなに高く育つか」⇒「インターネットでは『本当』に知りたいことはわからない」が好みです。大橋歩さんのエッチングも軽やかでいい。#白猫…
原田マハ「たゆたえど沈まず」読了。このもの物語は大きく三つの柱でできている。ひとつはテオとフィンセントゴッホ兄弟の友情(心情)、そして林忠正と加納重吉の二人の日本人によるパリでの日本美術(浮世絵)の普及と商売、そしてフィンセント・ゴッホの…